「姿勢を正す」より先に、力を抜く|慢性的な肩こりの原因と、肩の力を抜く方法

「姿勢を正す」より先に、力を抜く。正すより、落とす

「姿勢が悪いよ」と言われて、はっと胸を張る。背すじを伸ばす。

そして5分後には、元に戻っている。

これは、意志が弱いからではありません。やり方の順番が逆になっているだけです。

先に結論をお伝えすると、肩こりが慢性的になるいちばんの原因は、「力が入ったまま」の時間が長く、それが自分では「ふつう」になってしまうことです。慢性化した肩こりの人ほど、どこに力が入っているのか自分では分かりにくく、「抜こう」としても抜けません。だから解消の入口は、もむ強さより先に「抜く」こと。肩の力を抜く方法は、「一度ぐっと上げてから、息を吐きながらすとんと落とす」です。わざと一度力を入れて「入っている」と「抜けた」の差をつくります。正すより先に抜く。この順番の話を、座ったまま10秒でできる確かめ方と一緒にお伝えします。

この記事でお伝えすること

  • 肩こりが慢性的になるのは、力が入ったままが「ふつう」になるから
  • 肩の力を抜く方法は、一度上げてから、すとんと落とすこと
  • 力を入れて作った姿勢は、力を抜いた瞬間に戻ります
  • 猫背を直そうとして、前も後ろも一緒に力んでいることがあります
  • 先にするのは「正す」ではなく「抜く」
  • 抜けたぶんだけ、姿勢は勝手に起きてきます
  • 座ったまま、10秒で確かめられます

肩こりが慢性的になる原因は? 力が入ったままが「ふつう」になるから

慢性的な肩こりは、ある日の重い作業ひとつで起きるというより、毎日の小さな力みが積み重なって起きていることがほとんどです。よくあるのは、次の3つが重なっている形です。

  • 同じ姿勢が続く:パソコンやスマホに向かっていると、肩は少しずつ耳のほうへ上がっていきます
  • 集中や緊張で固まる:歯を食いしばると、首や肩も一緒にこわばります(「いま、上下の歯がくっついていませんか」でくわしく書いています)
  • それが続くと、入っていることに気づかなくなる:力が入ったままが当たり前になり、慢性化していることにも気づきにくくなります

つまり慢性的な肩こりは、「肩が弱い」のではなく、抜けるタイミングがないまま一日が過ぎている状態です。

メグルでは、肩だけでなく首の付け根・背中・顎まわりまで手で確かめます。慢性的な肩こりの方ほど、肩そのものより先に、そのまわりが固くなっていることが少なくありません。なお、腕や手のしびれ、手に力が入りにくい、急な強い頭痛、じっとしていてもつらい、といった場合は、まず医療機関にご相談ください。

慢性的な肩こりは「抜く」から。肩の力を抜く方法は?

肩こりの人ほど「脱力しよう」としても抜けません。多くの方は、肩に力が入っていること自体に気づいていないからです。パソコンに向かっているとき、スマホを見ているとき、緊張する話をしているとき。肩は少しずつ耳のほうへ上がっていきますが、ずっとその状態だと、それが「ふつう」になってしまいます。

この状態で「肩の力を抜こう」と意識しても、どこをどう抜けばいいのか分かりません。かえって、抜こうとして別のところに力が入ることもあります。

だから、やり方は逆です。

  • まず、わざと肩をぐっと上げて、力が入った感覚をはっきりさせる
  • 次に、息を吐きながら、すとんと落とす
  • 落としたあとは、なにもしない(自分で位置を整えない)

メグルでも、施術の始めに横になった直後は、肩や首に力が入っている方がほとんどです。ご本人は「力は抜いています」と思っていることも少なくありません。それくらい、入っている力は自分では分かりにくいものです。仕事中なら、メールを1通送るたび、電話を切るたびなど、区切りごとに一度「上げて、落とす」を挟んでみてください。

くわしい確かめ方は、後半の「座ったまま、10秒で確かめられます」でお伝えします。その前に、なぜ「抜く」が先なのかを見ていきます。

「正しい姿勢」を作ろうとすると、続きません

胸を張る。肩を後ろに引く。お腹に力を入れる。

どれも、力を入れて作っている姿勢です。力を入れている間だけ保たれて、気が抜けた瞬間に戻ります。

しかも、ずっと力を入れ続けることはできません。仕事中に姿勢のことばかり考えているわけにもいきません。だから続かないのは当たり前で、続かないことを自分のせいにする必要はありません。

力を抜くと、姿勢は勝手に近づきます

ここが、この記事でいちばんお伝えしたいところです。

体はもともと、力が抜けていれば起きてくるようにできています。背骨は積み木のように積み重なっていて、余計な力がかかっていなければ、積み木は自然と安定します。

猫背になっているとき、体は「たるんでいる」のではなく、どこかが引っぱったまま固まっています。その引っぱりを残したまま、反対側に力を入れて起こそうとすると、どうなるか。

前も後ろも、両方力んだ状態になります。これが、姿勢を正したあとに妙に疲れる理由です。

そして、引っぱっているところが、気になっている場所と同じとはかぎりません。背中が丸いのに、原因は股関節まわりだった、ということもあります。この見方については「痛いところだけ触っても戻るのはなぜ|全体と局所」でくわしく書いています。

だから順番は、まず抜く。それから起こす。前の記事の「整えてから動かす」と、まったく同じ話です。

姿勢をがんばる前に、力みを確かめる。力を入れて正そうとする場合と、まず余計な力を抜く場合の比較
がんばりで支える姿勢と、抜けた結果そこにある姿勢は別ものです

「引き算」してから「足し算」

力を入れて姿勢を作るのは、足し算です。足し算の前に、引き算をします。

  • 入っている力を抜く(引き算)
  • 抜けたぶん、体が起きてくる
  • そのうえで、必要なら支える力を足す(足し算)

この順番なら、力を入れ続けなくても保てる姿勢になっていきます。がんばりで支えている姿勢と、抜けた結果そこにある姿勢は、まったく別ものです。

今つらいところがある方も、ご相談ください。「姿勢を良くしたいけど続かない」という方も、「もう張っていてつらい」という方も、どちらも同じところから始めます。まず、どこに力が残っているかを一緒に確かめます。

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座ったまま、10秒で確かめられます

いま椅子に座っているなら、そのまま試してみてください。

  1. 肩を、耳に近づけるようにぐっと上げる(3秒ほど)
  2. 息を吐きながら、すとんと落とす
  3. そのまま、なにもしない

落としたあと、さっきより肩の位置が下がっていませんか。そして、胸を張ったわけでもないのに、少し起きた感じがしませんか。

それが「抜けたぶん、起きてきた」状態です。力を入れて作ったものではないので、しばらく保ちます。

デスクワークで座りっぱなしの日は、この「落とす」をこまめに挟むと、夕方の張り方が変わってきます。ほかにもできることを「座りっぱなしの日の、1分リセット|気づいた瞬間がタイミング」にまとめました。

座ったまま、肩の力を抜く3ステップ。肩を軽く上げる・息を吐いて下ろす・そのままひと呼吸
正すより、落とす。10秒で確かめられます

今日からできること(ひとつだけ)

「姿勢が悪い」と気づいたら、正さずに、まず落とす。

胸を張るのをやめて、肩を上げて、すとんと落とす。
それだけで、正そうとするより自然に起きてきます。

1日に何度でも構いません。正すより、落とす。これだけ覚えて帰ってください。

よくある質問

慢性的な肩こりは、もんだり湿布を貼ったりするだけでは楽にならない?

もんだり温めたりして、一時的に楽になることはあります。ただ、力が入ったままのクセが残っていると、また同じところに戻ってきやすいもの。楽になったあとに「上げて、すとんと落とす」を挟むと、戻りにくい状態を保ちやすくなります。すぐ戻る理由は「痛いところだけ触っても戻るのはなぜ」でお伝えしています。

肩こりが慢性化していても、自分では気づかないことはある?

あります。ずっと力が入っていると、その状態が「ふつう」に感じられるからです。上の10秒の確かめ方で、落としたあとに肩が下がるなら、気づかないうちに力が入っていたサインです。

慢性的な肩こりは、病院と整体のどちらに行けばいい?

しびれや手の力の入りにくさ、強い頭痛、じっとしていても痛むといったことがあれば、まず医療機関へ。そうした心配がなく、張りやこわばりをくり返している場合は、整体で力の入り方を一緒に確かめるのもひとつの方法です。

まとめ

  • 肩こりが慢性的になるのは、力が入ったままが「ふつう」になるから
  • 力を入れて作った姿勢は、抜いた瞬間に戻る
  • 猫背は「たるみ」ではなく、どこかが引っぱったまま固まっている
  • そこへ反対から力を入れると、前も後ろも力む
  • 順番は引き算がさき。抜けたぶん、体は起きてくる
  • 覚えるのは「正すより、落とす」だけ

力の抜けた姿勢は、疲れません。だから続きます。抜けるタイミングを一日の中に戻していくことが、すぐ戻る肩こりをくり返さない体への近道です。行きたいところへ行けて、やりたいことができる体でいるために、まずは肩をすとんと落とすところから。

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※整体施術は医療行為ではありません。症状の診断や治癒をお約束するものではありません。気になる症状がある場合は、医療機関にご相談ください。